「ぼくのこと保護してくれませんか？」ガラス越しにお家の中を見つめる猫ちゃん、その姿があまりにも健気すぎると話題に

ドアのすりガラス越しにぼんやりと見える黒猫ちゃんの姿。

一見すると、たまたまやって来た猫が何となく扉の前にいるようにも見えますが、しっかりと腰を下ろしてガラスの内側を見つめていることから、何か目的があってここに座っているのは想像だに難くありません。

その落ち着き払ったような態度は、まるで散歩から帰ってきた家猫が「早くドアを開けてくれ」と催促しているかのような佇まい。ドアの外でこんな風に野良猫が待っていたら、「うちのコになりたいのかい？」と思わず声をかけたくなってしまいそうです。

通常、猫の里親探しは人間から猫にアプローチをするのが一般的ですが、このように猫の方から人間にアプローチするのはなかなか斬新なスタイル。しかし、猫の立場になってみると、自分好みのお家や人間と暮らしたいと思うのは自然な欲求であり、そこへ保護されに来るのは合理的な行動であるとも言えそうです。

とは言え、この黒猫ちゃん。これまで飼い主さんと全く接点がなかった訳ではありません。くろちゃんが初めて家の敷地に姿を現したのは昨年の秋のこと。鋭い嗅覚によって家の住人が心優しい猫好きだと感づいたのか、それからせっせと通ってくるようになったのだそう。

何度も何度もやって来るうちに、飼い主さん家族とは顔見知りの関係になり、いつしか近づいても「シャーッ」と威嚇されなくなるほどの距離感に。そして今年の春になると、ガラス戸の前で家の中を覗くようになったくろちゃん。これまでの経緯を考えると保護せざるを得ない状況になっていたと言います。

「これはいよいよ家の中に入ろうとしているなと思ったので、人間たちも覚悟を決めました。」

（飼い主さん）

冒頭の写真はそんな光景をすりガラス越しに撮影したもので、この後、飼い主さん家族はお家の中にケージやトイレを準備してから、無事に黒猫ちゃんを保護することに成功。外猫だったくろちゃんが足繁く通った末に幸せをつかんだ瞬間でした。

くろちゃんが保護された時、お家の中にはすでに健太くんという先住犬と、キジくんという先住猫がいました。

健太くんは以前から猫のことがとても大好きな「猫派」のワンちゃんで、新入りのくろちゃんから「シャーッ」と威嚇されても、ひるむことなくフレンドリーに接する大人の対応ぶり。一方のキジくんは猫見知りの神経質な子で、くろちゃんとは2ヶ月ほど別部屋で過ごしていたものの、初めて顔合わせをした時には拒絶反応が炸裂。しかし、時間が経つにつれてくろちゃんとの関係性も変化してきたようです。

「どうやらキジくんとくろちゃんは同い年くらいの年齢なようで、時々プロレスしたり、お互いをグルーミングしたりと少しずつ仲良くなっています。健太は猫たちのプロレスが激しくなるとレフェリーのように割って入りますが、普段は見守りの姿勢です。」

現在のくろちゃんは、人懐っこい性格でとても穏やか。猫じゃらしの玩具で遊ぶのが大好きで、日中は猫用ハンモックで長い昼寝を楽しんでいるけれど、ごはんの時間になると一番に起きてきて、キッチンに突入してくる食いしん坊な一面もあるのだとか。

そんなくろちゃんは、飼い主さんにとって特別な存在の猫ちゃん。以前は保護されている犬猫を探して里親に応募していた事を考えると、くろちゃんはその真逆で自ら我が家にやってきた子。その出会いがあまりにも衝撃的で心に残っていると言います。

また、猫見知りで他の猫と仲良くなるのが難しかった先住猫のキジくんと、少しずつ距離が縮まっていることを何より嬉しく感じているのだそうで、「頭のてっぺんからしっぽの先まで素敵なくろちゃんですが、猫犬人間みんなと仲良くなれる適応力が一番すごいと思います。」と、くろちゃんの魅力を語ってくれました。

インタビューの最後に、くろちゃんが何故、飼い主さんのお家を選んで保護されに来たのか、その理由について飼い主さんに聞いてみると、「我が家が猫好きでケージも余っているという情報が、NNN（※）で共有されたのではないかと思います。」と、ユーモアたっぷりのコメントを寄せてくれました。

※NNN：ねこねこネットワークの略称。ネコ好きな人間の元に野良猫を派遣して、飼い猫として幸せに暮らさせるべく暗躍しているという、都市伝説上の組織のこと。

取材協力：あか（@akaneco0227）さん

記事転載元：https://cat-press.com/cat-news/would-you-protect-me